愛知県内のスポーツアセット

スポーツチームの集積

愛知県は、全国的にも稀有なスポーツチームの集積県です。
プロ野球、Jリーグチームのほか、バスケットボールでは男子のB1リーグに4チーム、女子のWリーグに5チーム、バレーボールではSVリーグに男女3チーム(前期のV1リーグまでは4チーム)、ハンドボールのリーグHに男女4チーム、ソフトボールJDリーグに4チーム…と勢ぞろい。ラグビーやフットサルなども含め、各競技で日本代表選手も多数選出されています。

日本経済を牽引する地元の製造業からかつて数多くの実業団が誕生し、今はその歴史を受け継ぎ独立したチームと企業チームが県内に共存。競技によっては母体企業と切り離した事業会社化を推進するトップリーグもあり、今後もそうしたチーム・クラブが増えることにより、県内スポーツ興行の多様化と活性化が期待できます。

スポーツを通じたつながり

愛知県では、スポーツを通じて地域の魅力を紹介する季刊誌「あいちのスポーツリージョナルマガジンaispo!」を2014年より発行。また同誌と連動するウェブサイト「aispo!web」やSNS、スポーツ大会の招致・支援等を通じた地域活性化を目的に2015年設立に設立した「あいちスポーツコミッション」の活動等を通じて、プロスポーツ・国際大会を中心に愛知県内のスポーツの魅力を発信しています。

競技単位でも、バスケットボールでは愛知県バスケットボール協会などが中心となり、男女9チームの集積を生かした「あいちバスケットボールフェスティバル」を例年開催。さらに単一都道府県で唯一B1リーグが4チーム揃うことから、2024年からは、シーズン開幕前に愛知県独自のカップ戦「AICHI CENTRAL CUP」が開催されています。
バレーボールでも2022年より「Aichi Volleyball Fes」を通じ、SVリーグ化に伴い福島・郡山に本拠地を移転したデンソーエアリービーズを含むトップリーグ4チームが勢揃いし、競技や選手魅力を身近に感じられる場を提供しています。
また、名古屋市でも2013年設立の名古屋トップ・スポーツチーム連絡協議会(でらスポ名古屋)により、市内のスポーツチームと連携したシティプロモーションが盛んに実施されてきたほか、2021年には名古屋スポーツコミッションも設立されました。

750万人が暮らす愛知県には、チーム・クラブ・行政がスポーツを通じて連携できる豊かな土壌・風土があると言えるでしょう。

地元に根差したマスメディア

中日新聞は愛知・岐阜・三重・静岡・滋賀・長野・福井の7県で170万部を発行。中でも愛知県内だけで110万部が毎朝家庭やオフィス等に届けられます。単一の都道府県で一紙が100万部を超えて購読されるのは、愛知県における中日新聞だけです。加えて、同じ新聞社で中日スポーツも発行。モーニングに象徴される喫茶店文化には中日スポーツも一役買い、多くの店内に置かれることから、街の風景として溶け込んでいます。

これらを発行する中日新聞社は中日ドラゴンズの親会社としても知られますが、本場所では唯一の共催となる大相撲名古屋場所、ギネス記録を持つ名古屋ウィメンズマラソンを核とする「マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知」などのマラソン大会、多くのメダリスト・オリンピアンも幼少期より出演してきた名古屋フィギュアスケートフェスティバル、そしてジュニアから社会人のスポーツ大会に至るまで、多くのコンテンツを興行・運営しています。チーム・マスメディア・コンテンツを内包し、スポーツ報道・運営・ビジネスの人材を有しています。

在名のテレビ局・ラジオ局も、バンテリンドーム ナゴヤでの中日ドラゴンズ主催試合は地上波テレビ・ラジオで全試合が放映し、名古屋グランパスやBリーグの番組、独自のスポーツ興行やイベントを開催するなど、マスメディアを通じたスポーツの魅力発信に寄与しています。

地理的優位性

日本地図の中央部に位置する愛知県。首都圏や関西圏から日帰りでアクセスできるほか、空路も使いやすいです。空港島には国際展示場「Aichi Sky Expo」も立地。常設の保税展示場なので会場内の外国貨物が輸入されずに外国へ送り戻される場合、税を課されることなく展示を行うことができます。スポーツではフェンシングの国際大会が行われるほか、2026年のアジア競技大会で公式競技となるeスポーツの会場となり、国内外からの出場・観戦が容易に。この特性を生かし2025年3月には「ASIA esports EXPO」が初開催されます。

中部国際空港「セントレア」から名鉄名古屋駅までは最速28分(特急「ミュースカイ」)で、中部圏の鉄道網は名古屋から放射線状に各地へつながっています。2024年10月に開業した国内最大級のスタートアップ支援施設「STATION Ai(ステーションエーアイ)」はJR名古屋駅から最寄りの鶴舞駅まで中央線で2駅7分、2025年7月に開業し大相撲名古屋場所や名古屋ダイヤモンドドルフィンズの本拠地となるIGアリーナも、名古屋市営地下鉄で名古屋駅から乗り換え1回で5駅の名城公園駅すぐ。目の前の大津通は中心街「栄」まで一直線です。

また、スタートアップ支援やイノベーションの創出においては、名古屋駅徒歩圏の旧小学校を生かした「なごのキャンパス」、栄・ナディアパークの「ナゴヤイノベーターズガレージ」などがあり、起業家・投資家・事業会社新規事業部門の距離感が近いのが特徴。濃密なコミュニケーションや学び合いが行われています。

スタートアップ支援に手厚く、スポーツチームは集積。スポーツ・ウェルネス分野で実証フィールドを選ぶなら、人も距離も近い愛知県はチャレンジしがいのある市場です。

産業

製造品出荷額等が突出し、県内総生産(GDP)は全国3位。産業別では第二次産業の割合が約4割と、製造業の構成比が極めて高いところが特徴です。

一方で、あまり県外で知られていないのが、農業。農業産出額は3,114億円(2022年)と全国第8位で、中でも花きは61年連続日本一。木材・木製品出荷額は全国第3位(2021年)です。漁業では、あさり類・くるまえび・がざみ類・あゆ(養殖)が生産量日本一(2022年)。他にもうなぎ(養殖)・金魚など全国上位を占める魚種が多くあります。

こうした産業の豊かさが強固な経済力となり、次世代産業の育成にもリソースが注がれています。

学生

バスケットボール女子の桜花学園、バレーボール男子の星城高校など、のちの日本代表選手を多数輩出している強豪校は県外でも知られています。また、そうした高校だけでなく、例えばハンドボールのように全国的にも突出して普及している下地が見られます。「aispo!」によると、日本ハンドボール協会への競技登録者数を都道府県別で見ると、最も多いのが愛知県。2017年の記録では12,578人で、2位の東京都(7,079人)と比べても2倍近くに及びます。1950年代に桜台高等学校ハンドボール部をインターハイ5連覇に導いた名将の下から多くの指導者が育ち、愛知県内の中学や高校で次々とチームを作ったことが「ハンドボール王国・愛知」の礎となったといわれています。2024年の登録チーム数は高校男子が132チーム、女子が107チーム、中学生男子が99チーム、女子が75チームと、その伝統は引き継がれていると言えるでしょう。

そして、中京大学の存在も欠かせません。数多くのオリンピアン、メダリストを輩出しているだけでなく、スポーツ科学部には経済・経営・法など多様な領域からスポーツの可能性を学ぶスポーツマネジメント学科も設置。社会人向けにもスポーツマネジメントコースを新設し、スポーツビジネス人材の育成を推進しています。

加えて至学館大学の健康科学部健康スポーツ科学科や東海学園大学のスポーツ健康科学部など、スポーツを生業にしようと志す学生たちの受け皿が各大学に。また愛知東邦大学では「スポーツ・健康×まちづくり部」の活動を通じて「名東区スポーツ・健康×まちづくり協議会」の設立に発展するなど、地域に根差した活動も見られます。

TOP