Digital×Physical
テクノロジーが変えるスポーツ体験
トップアスリートのトレーニングからエンタテインメントまで、デジタル技術との融合により、省スペースにひとりでもスポーツができるものが多数生まれています。
一方で、全国の小学校5年生と中学校2年生を対象にスポーツ庁が行う「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)において、愛知県は長年にわたり全国最低水準。昨年10月に中京大学がまとめた「愛知県体力テストデータ分析委託事業報告書」では、スポーツにおけるICT(情報通信技術)の活用について「体力向上や楽しいという気持ちの育みにつながる効果的な活用法の探求が求められる」と提言されました。また、ICTのスポーツへの活用は、子どもに限らず運動習慣のない成人にも効果が期待できます。
日常の生活動線でちょっと寄り道し、ひとりでも普段着のままでもスポーツに「ふれる」きっかけに。商店街や商業施設などで、空き店舗やちょっとした余剰空間の活用に。こうした身体運動を促進するデジタルコンテンツの活用法を考案中です。
思わず身体を動かしたくなる
デジタル活用例
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AIスポーツ適性診断「DigSports」
画面に合わせて体力測定の動作を行うだけで、AIがその人に「向いているスポーツ」を70種以上の競技からおすすめ。普段着のまま5分程度の実施で結果がわかる手軽さが好評です。時に思わぬ適正を提案し、自分ではわからない診断が出るゲーム性は、子どもの可能性を知りたい親の心理のみならず、大人自身の運動意欲も駆り立てます。 提供: 電通総研
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AI姿勢・動作分析「Sportip Pro」
iPad、iPhone内蔵カメラでのモーションキャプチャを元に、AIで姿勢と動作の分析を行う最新アプリです。身体の歪みや部位の問題点だけでなく、将来の姿勢予測・リスクまで分析します。対策としておすすめのトレーニング法を膨大なメニューから自動生成し、数秒で提供可能です。 提供: Sportip
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VR野球シミュレーション
「V-BALLER」ボールの解析データと投球フォームの映像で、現実さながらにVR空間で実試合の投球を完全再現。選手毎のタイミング・投手・球種・コースの得意不得意・ボールの見極めの把握が客観的に可能に。プロ野球から少年野球まで、またエンタテインメント仕様でも活用されています。 提供: AbZero
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VRサッカートレーニング「REZZIL」
様々なドリルをこなし、サッカー選手の認知スキルを伸ばすバーチャルトレーニングシステムです。イギリスのスタートアップが開発し、英プレミアリーグのクラブも活用。スタジアムでプレイするような没⼊感が味わえます。ボールを蹴ったことがない女性やシニア層らも疑似体験ができ好評です。 提供: 共同通信デジタル
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運動指導効率化ツール
「Loop Training System for 部活」搭載の「お手本動作(16競技135動作)」と自らの動作との差を確認し、その前後動作も比較する事で上達を実感。課題を可視化し改善へ導く未来型のトレーニングツールです。
トレーニングメニューも豊富で、初級・中級者の上達を効率的にサポート。部活動での指導の効率化・標準化と質の向上に期待され、文科省が推進する「DXハイスクール」にも採用されています。
(現在は提供方法を変更) 提供: TOPPAN -
AR式室内運動プラットフォーム
「DIDIM」床に投影された映像を見ながら直感的かつ足や手を使って全身運動ができる、韓国発の最新鋭レクリエーション機器です。拡張現実を用いて様々なエクササイズや脳トレなどのモードが搭載されており、お子様からお年寄りまで幅広い世代で楽しめます。 提供: コミュニティネットワークセンター(CNCI)
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非接触・非装着型モーショントレーニングツール
「TANO」高齢者や障がい者向けに、自然と体が動き出す非接触型リハビリ支援システムとして開発。モーションセンサーが体の動きや声を遠隔で検知し、250種類以上の運動・発声・脳活性化プログラムをゲーム感覚で楽しめます。装着不要のため老若男女問わず手軽に参加でき、福祉や医療の現場のみならずイベントや商業施設でも利用シーンが広がっています。 提供: TANOTECH株式会社
「カラダを動かすテクノロジー」の実証
2024年度は、大きく分けて以下の実証を行いました。
①商業施設の一角(協力:イオンリテール様、イオンモール様)
通りすがりの買い物客がAIスポーツ適性診断「DigSports」やAI姿勢解析「Sportip Pro」等を体験するとともに、併設した県内スポーツチームのPRブース等にも立ち寄りました。
②職場、公共施設(協力:ワイヴァンエンターテイメント様、知立市様)
スポーツ庁の令和6年度「Sport in Life推進プロジェクト(スポーツ人口拡大に向けた取組モデル創出事業)」として知立市で実施。同市と連携協定を結ぶ社会人サッカークラブ「wyvern(ワイヴァン)」の選手らが、応援してくれる地元企業にVRサッカートレーニング「REZZIL」やSportip Proを「出前」。健康経営への取り組みと相性が良いとの手応えを得ました。また「Loop Training System for 部活」やDigSports、そしてVR野球シミュレーション「V-BALLER」も用いた集合型の体験会も行いました。公民館や会議室といった運動施設ではない場所で、普段着のまま楽しめました。
③その他(デモンストレーション)
また、デモンストレーションとして、知立市商工会館で商工会の方々や、ワイヴァンエンターテイメント様が運営する複合習いごと施設「UBクリエイティブベース」にお子様を通わせて待ち時間中の親御様にもREZZILを提供。母親のVRサッカーをお子様が撮影するシーンも見られました。
●運動・スポーツに対する意欲→テクノロジーを用いることによる変化
いずれの場でも体験者に同じアンケートを実施。「積極的に運動したい」を7、「まったく運動したくない」を1として、日ごろの 運動・スポーツに対する意欲と、テクノロジーにより身体動作を誘発するような運動・スポーツのコンテンツが使える場合の運動意欲を聞きました。
「通りすがり型(商業施設)」「出前型(職場)」「集合型(公共施設)」に分類。意識変容においてより効果的なのは「出前型(職場)」でした。
また、「出前型」だけを個々に見ると、今回の実証では以下のような傾向が見られました。
・7段階の「3」以下の層で、変容がより生じている
・「1」の「まったく運動したくない」人でも、意欲が増す傾向に
・元々運動意欲がある人(7段階の「5」以上)の中には、テクノロジーによる変容がない人(左図で、赤のドットに青のドットが隠れる人)や、意欲が下がる人も見られた。
→テクノロジーの活用が、運動意欲の低い層に変容を促せる可能性
●運動・スポーツ実施状況→参加後の意識変容
体験会に参加する前の運動・スポーツの実施状況と、体験会に参加した後の運動・スポーツへの意欲の変化を4段階に分けて聞きました。「週1回以上」を4、「週1回未満」を3、「不定期」を2、「実施しない」を1として、意識変容においてより効果的なのは「出前型(職場)」でした。
この設問でも「出前型」に絞り込むと、この実証では以下の考察が得られました。
・体験前「全く実施していなかった」層では全員に意欲の変化が見られた。
・体験前「不定期実施」層では今後「定期的」「機会があれば」に分かれた。
・仮想空間の没入感でサッカーができる驚きと楽しさ、AI姿勢解析による現実と未来の突きつけという組み合わせがよかった可能性もある
→運動習慣のない人に「出前」がきっかけになり得る
(参考:
Sport in Lifeにて公開している実証事業の報告書)
この実証を通じて、今後は以下のことに取り組んでいきます。
・VRトレーニング系の定期的な活用方法を深掘り
・AI診断系は単発イベントの一部として活用を模索
・「ちょっとした場」の活用例を増やす
・新たな「カラダを動かすテクノロジー」の探索
・障がいの有無を問わず使える「カラダを動かすテクノロジー」の探索